+private room++++   捏造ED後  アッシュとルーク



 死んでいたはずのファブレ家の子息が二人になって帰ってきた。ファブレ家子息ルークの私室は成人間近の公爵家子息の部屋にしては若干狭いものであった。二人で同居するには狭く。お互いに自立しているので今更な感じもある。
 私室の隣には使われることのほとんどなかった子息専用の応接室があり、そのまた向こうには子息専用の使用人の控室などの施設があった。ルークには客人もなく専属の使用人と呼べるのはガイだけで、そのガイはその控室を利用していなかった。 ルークの中ではないも同然のよくわからない入ってはいけないだろう部屋という認識しかなかった。そこを改築しアッシュの部屋にすることとなった。

「アッシュの部屋の家具を母上と俺が勝手に見つくろっておいていい?」
「ああ。そうだな任せる」
 今は父上につき仕事を覚えるのに忙しいアッシュは現在のルークの私室に想いをめぐらせ、そう奇抜な装飾でなかったことを思いだし頷いた。
「よかった。母上にまかせっきりにするとちょっと…ね」
 ルークは笑みを浮かべた。
「あーなるほど」
 母上の部屋は少し少女趣味が垣間見える装飾だったことを思い出した。
「ん?ならばお前の部屋はお前が選んだのか?」
「ちがうよーガイが使い勝手のいいものを選んだらしい。昔いちいち講釈を垂れてたけど忘れた」
「…決定するまえに一度確認してくれ」
 アッシュは苦笑いを浮かべた。
「何気にひでぇな…俺のセンスを信じないと?」
 ルークは口元を歪めて不満そうにしていたが、すぐに笑顔に戻る。
「まぁそういうと思って、一覧をもってきたぜ」
 ルークが差し出した一覧をアッシュは持っていた書類を一度おいて、それにざっと目を通した。
「悪くない…が、ベッドが大きすぎないか?」
「そうか?俺達二人だとそれくらいないと落ちるだろ?」
 ルークはアッシュの手元にある書類を覗き込みながら、にこにこと当然のようにいった。
「お前の部屋は隣にあると聞いたが?」
「だって一緒に寝たいときもあるし!お前はもう一緒に寝れなくてもいいの?」
「いや…しかし。母上にはなんと説明したのだ?まさかナタリ…」
 幼い精神構造をしたレプリカは世話係のガイを見習ってかいらぬお世話を焼きたがる。まさかナタリアの名前を出したりしていないだろうな?と疑問を口にしかけた。
「大丈夫!母上にはちゃんと説明したし。今まで離れてた分、これからできるだけ一緒にいる時間を増やしたいんだ!っていったら母上は感激して涙ぐんでた。俺とアッシュが仲良しだとうれしいみたい」
 ルークは酷くご満悦な様子でうふふと思い出し笑いをした。幼いレプリカではナタリアとの仲を応援するとかなんとかいいつつもそういったことには思考が至らないのはせめてもの救いだとアッシュは息をついた。しかし母上に対する説明は直球すぎやしないかと思う。
「そ、そうか…」
 それで説得されたのか?と思わなくもないが、ともかく成人した息子達が一緒に寝るというのは母上のなかでは許容範囲内だったらしい。
「ではこれで頼む」
 アッシュは一覧をルークへと戻した。ルークは満足そうに頷いて自慢気に満面の笑みを見せている。おもむろに目を閉じてこちらへと首を寄せた。
「なんだ?」
「ご褒美にキスv」
「…」
「おれすごく頑張ってるだろ?」
「ああ…それは認めてやる」
「だからご褒美にキス…してくれよ」
 ルークの瞼があげられて期待に満ちた瞳がアッシュを見つめていた。アッシュは仕方ないとルークの前髪を掻きあげてその額に唇を寄せた。
「よくがんばっているな。その調子で頑張れ」
 ルークは額をうれしそうに指で触れて頬を朱に染めていた。
 それ以上をしてしまいそうになるのを自制するために、ついでのように髪を掻きあげたままだった手で頭をなでてやると子供のように元気よく返事をした。
「あー早くアッシュの部屋が遠い客間から隣になんないかなぁ…」
「一日でも早くそうなるように、早く注文してこい」
 アッシュに促されてルークは足早に客間を出て行った。廊下を走るなとあれほど言ったのに駆ける音が響いていた。



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