■■最新更新分■■

+++「夢見る頃をすぎて」11-

 ガイルク。アシュルク。ヴァンルク?的なところもあります。ガイアシュ的な要素も含んでおります。大丈夫な方のみ進んでください。
こういうのなんて表現したらいいのかなぁと思ってたら便利な言葉がありました。
「ルーク総受け」です。たぶん……と言ってもルークがみんなを大好きでみんながルークを好きだというだけかも。

「ルークどん底」です。ルーク幸せしか認めないというような方は見るのをおやめになることをお勧めします。

逆行ものです。過去の一周目の話からはじまってます。
全部完結してから更新始める予定でしたが、そうすると5月すぎても更新できなさそうな感じになってきたのでとりあえず、様子を見ながら更新していきます。途中で修正が入ったり、つじつまあってなかったりすることはデフォルトです。頑張って合わせて行くつもりにはしております。

さっくりと書きたいところだけというタイプで短いお話を目指してます。

大事なことなので二回言っときます。「ルークどん底」です。ルーク幸せしか認めないというような方は見るのをおやめになることをお勧めします。






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第十一話



 アッシュはフレスベルグを魔界へと降ろした。飛び立つのが遅かったために二人の負荷では地上に上がることが難しかったのだ。
「レプリカは無事だろうか?」
「落とさずに抱えていたところをみれば、ルークの脅しは効いていると思うが」
「それにかけるしかないか……仕方ねぇ……」
 ガイの苦笑交じりのコメントにアッシュは乱暴な手つきで前髪を掻きあげた。
「だいたいレプリカの野郎はヴァンに懐いてないって話じゃなかったのか?どうしてあんな風に……」
 アッシュ達を見て脅えてヴァンに縋りつくレプリカの姿をアッシュは思い出して舌打ちをした。忌々しくて苛立つ。
「どうしたイラついているな」
「苛つきもするぜ。あんな……同じ姿でみっともねぇ……」
「まぁそう怒るなよ。アッシュ」
「そう言えばガイ。またルークって呼んだ。気をつけろ」
「あ〜そうだったなわりぃ」
 ガイはへらりと笑って頭を掻く。ガイにしては珍しいミスだった。アッシュはその時のことを思い出して今の想定を否定した。咄嗟にフレスベルグの影に反応してガイが危機に反応して名前を呼んだと思ったが、今思い返して見ればガイはレプリカをまっすぐに見て手を伸ばしていた。早く手を取れと言うように名前を呼んでいたのだ。
「レプリカを呼んだのか?」
「え?」
 ガイが言われて気付いたとでも言うようにはっとして顔を上げた。
「そう、そうだな……あれを見たら咄嗟にルークと呼んでいたんだ。似ているからかな?」
「お前が間違えるはずないだろ?」
「知らずとルークと呼んでいたんだ。どうしてだろうな?まだ二度しか合っていないはずなのに無性に懐かしくなった。正直。今、腕の中にいないことが不思議な感じがしている」
「ガイ……言っておくがアレは俺のレプリカだ。俺のものだからな。手を出すなよ……」
「手を出すって……どういう……まったく。そういうのじゃない」
 ガイはそういいながらアッシュの頬へと手のひらを伸ばしに安堵を含んだやけた笑みを浮かべる。
「お前は本当にこの顔が好きだな。節操がなさすぎだろ?」
 アッシュは思わず呆れてしまった。
「不思議なんだが、レプリカの手を必ず掴まなければいけなかった気がして先ほどからアッシュじゃないが落ち着かないんだ。早く迎えにいかなればいけないような嫌な感じがしている」
「俺もだ……断片的に見た未来と変わったことを喜ばなければならないはずなんだがな……落ち着かない。変わったと言っても街は崩落してる……結局レプリカはヴァンに懐いてしまったようだ」
 アッシュもガイと同じ気持ちだった。時折見る夢とも白昼夢ともつかない映像が未来だとわかったのはつい先日だ。レプリカとチャネリングを開いてからのことだ。
「懐いてないという情報を信じてレプリカに関しては後手に回ってしまったな……それとも、ガイの未来に出てくるルークはレプリカの方だったか?」
 アッシュは舌打ちをして愚痴てから、ある可能性についてガイに聞いてみた。ガイは驚いた顔をした後に記憶を探っているのだろうしばらく考え込んだ後に否定しながらも否定しきれずに頷いた。
「いや、そうだな……たぶん。はっきりとは分からないが、レプリカの方か……そうか、そうだな。あの消える腕はそういうことか……俺はお前とレプリカとが混乱してしまっているのか?」
「じゃあ未来ではないのか?」
「わからないな。でも状況は似ている。アクゼリュスのレプリカによる崩落は同じだった。このまま同じようなことが起きるのだとすれば……世界は混乱し、いずれお前達は二人とも死ぬような目に合う事になる。俺はルークを失う事になる」
 ガイは言いながら辛そうに眉を顰め苦しみに耐えるように顔を歪めた。
「ガイ……」
 アッシュはガイを慰めるようにその項垂れた頭を抱きかかえた。
「大丈夫だ。俺はここにいる。預言の通りに死んだりはしない。そうだろ?」
「ああ、今度こそ守ってみせるさ」
「頼りにしている」
 アッシュはガイの言葉に安堵しながら、レプリカのことを思い出していた。断片的ではあるが見た未来の通りなら障気の中和やローレライの解放する為にレプリカの存在は必須なのだ。だからそれまではあの頼りなげなレプリカを守ってやらなければならない。死を詠まれているルークの生存の為にレプリカは必要だと言われ納得していたが、レプリカとチャネリングを繋いでからはアッシュの中に別の感情が生まれ始めているような気がした。
 ガイの言う『今度こそ守ってみせる』が胸にささくれを生む。一体誰をだ?アッシュはガイにそう言われるたびに安堵しつつも違うという否定する感情が生まれる。誰を守るのだ?


 「アッシュ?」
 考えに没頭しているアッシュを心配そうにガイが窺う。
「すまない。あいつらに会いに行こう。情報がほしい」
 ユリアシティにいるであろうジェイド達を追った。



 
 ユリアシティでジェイド達にルークがレプリカであることを告げた。その時言われた言葉がアッシュの胸を抉った。
「人じゃなかったんだ。だからアクゼリュスの街を壊して逃げたんだ」
「違う……」
 アッシュは思わず否定していた。
「アイツはそんな奴じゃない」
「しかし、ルークはどうしてアクゼリュスの住民避難を急いだのでしょうか?まるでアクゼリュスが崩落することを知っていたとでも言うように時間がないととても急いでた。知っていたのでは?キムラスカは預言遵守の国ですからルークが聞かされていたとしてもおかしくありません」
「レプリカは知っていたというのか?」
 アッシュは茫然としてジェイドを見返した。それならばアッシュ達を見て脅えて逃げた理由としては十分であるように思えた。
「犯した罪を知っていたと……」
「そうですよぉ。でないと私達みてあんな風に逃げるなんておかしいです。だってイオンさまルークはヴァン謡将に死んでくれって言われてたんですよね?それなのにヴァン謡将についていくなんて変だと思いまーす!」
 アニスがイオンに確認をとりながら腕を振り上げた。レプリカは知っていて力を使ったと言うのか?どうしてそんなことを?預言に従った……いや、ヴァンに死ねと言われて拒否をしていたともイオンは言っていた。
 アッシュのしる未来の映像との差異の意味することはなんだろうか。未来というには違いすぎる。既に預言が外れずれてしまった故の差異なのだろうか?
 アッシュは助けを求めるようにガイを見たが、ガイも揺れる瞳で宙を見ていた。
「ガイ……」
 誰を見ているのだ?こちらを見てくれないのか?アッシュは思わずガイの腕を引いた。
「あ……」
 ガイの瞳の焦点がアッシュに合った。
「どうかしたのかアッシュ?」
「いや、なんでもない……」



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第十二話



 薬によって意識をなくしたレプリカルークはぐったりとして、ヴァンの腕の中にあった。レプリカ独特の障害なのであろうか、完全同位体であるレプリカルークは時折意識を混濁させて、恐怖に慄き意味不明な行動をとると聞いていた。暴れて力を暴走させないために薬を使っているとも聞き及んでいた。もしもの時には首から下げたその薬を服用させるようにとも……
 本来の計画であれば、レプリカルークを預言のままにアクゼリュスを崩落させそのまま死亡させるはずだった。そうすれば預言に従いルークは死亡し、アッシュは預言から外れるはずだったのだ。アッシュの「預言は覆せなくなると思え」という言葉が全く理解できない。レプリカを死なせなればアッシュ自身にその預言が降りかかる危険が増すというのに、いったい何を考えているのか。
 ガイラルディア様とアッシュの望みだというのでレプリカホドも予定より早くに作りあげてしまい。いつの間にか譜石が落下したという話まで捏造したうえに流布までし、住み込んでいた。気に入っているようなので追及もせずにいたが、あれがそもそもの間違いであったかとヴァンは眠るレプリカルークを見下ろした。
 扱い辛くなっていくアッシュよりも急に従順になったレプリカルークを利用し、ローレライを末梢する方が手早いかもしれぬ。ヴァンは計画の見直しをすることにした。この世界全てをレプリカにし、大陸のレプリカ化は間に合わぬとしても第七音素を大量に消費し、ローレライを再生できぬようにしたうえで、ルークにローレライを末梢させる。それで事は済む。まずはすべての大陸を降ろすしかあるまい。
 ヴァンはいかようにルークを使おうかと思案した。


 「セントビナーがっ!!」
 陸艦で移動中にルークは突然に叫びながらヴァンの元へと走りこんできた。セントビナーの崩落は数日前からはじまっていた。そろそろ限界に達しているころだろう。そんな情報を眠っていたルークがどのようにして知りえたのかヴァンにはわからなかった。
「どうしたルーク?」
「ヴァンせんせぇ……次はセントビナーが崩落してしまう……戦争が始まってセントビナーも……」
「どうしてそう思うのだ?」
「え?だって……そう……」
 ルークはヴァンの質問に答えることが出来ずに困惑の表情を浮かべた。
「夢?」
「夢というだけのことはあるまい。先ほどセントビナーが崩落し始めたという情報が入ったところだ。お前が意識を失っている間にもアクゼリュスのパセージリングの崩壊が他の大陸にもう影響し崩落することが分かったのだ。だからセントビナーだけの話ではない」
「せんせぇ……」
 ルークはヴァンの話を聞いて息を呑んだ。身を乗り出してどうにかしてほしいと懇願でもしようというのかヴァンに縋りついた。怯え救いを求めるルークにヴァンは優しく語りかけた。
「遅かれ早かれ、あの地はアクゼリュスと同じことになるだろう。お前がしたことはそういうことなのだ。すべては預言に読まれていたことお前が気にすることはない」
 ルークは否定するように強く頸を横に振った。
「どうして……何か助ける方法はないんですか?あそこにはまだ人がたくさんいるんでしょう?それに他の大陸まで……そんなことになったら……」
 ルークは視線を彷徨わせた後で何か考えこんでいるようだった。
「方法がないわけでもない。お前が手伝ってくれるならばセントビナーのみならず他の地すら助けられよう」
 ヴァンはアッシュの代わりにルークに全大陸降下をさせることにした。いずれにせよアッシュはもうヴァンの言うとおりには動くまい。ならばレプリカを利用するしかないのだ。上手く言いくるめて世界を救うためだと言えばレプリカは容易く動かせる。その証拠にヴァンの言葉にルークは希望を見出したかのように明るい顔でヴァンを見上げていた。
「手伝ってくれるか?ルーク」
「はい。せんせぇ」

「それで何をすればいいのですか?」
「他のパッセージリングへ行き他の大陸を崩落する前にゆっくりと降下させるのだ。そうすれば人を乗せたまま崩れることなく降りていく。それをできるのはお前の第七音素を操る力が必要となる。難しい作業となるができるか?ルーク」
「大陸降下?」
「大陸をすべて魔界へと降ろす。そうしなければ崩落を待つだけになるぞ」
 ルークはこくりと頷きはいと元気よく返事を返した。
「ゆっくりと大陸を降ろす。そうだ早いほうがいい……」
 ルークは晴れやかな表情で何度も頷いていた。
「師匠。早くそれをしましょう!」
 はやる気持ちを抑えきれないのか、ルークは今にも飛び出していきそうな勢いだった。
「今、そこへ向かっている途中だルーク。ここは今どこだと思う?お前が意識をなくしている間にも私たちは移動している。神託の盾の陸艦の中だ」
「え?」
 ルークは部屋の中を見回し、小窓に歩みよると外を覗いた。
「今は海を渡っている。外へ出てみるか?」
 驚きの表情を浮かべるルークの肩をヴァンは優しく抱き寄せた。ルークは安堵したようにヴァンの名前を呼びその腕にしがみついた。大陸を降ろさせその地に全人類をレプリカに置き換えていけばいい。第七音素を大量消費した後、レプリカルークにローレライを消滅させれば計画は終了だ。ヴァンは一人ほくそ笑んだ。



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第十三話




 陸艦はゆっくりとダアトへと向かっていた。パッセージリングをヴァン師匠と操作して大陸をすべて降下させる計画は順調に終わった。アッシュたちが同じことを考えていたらしく半分は操作が終わっていたことも早くことを終えることに一助となった。頬に受ける夜風がやり終えたという気持ちのためか心地よく感じた。ただ心配事があった。隣に立つヴァン師匠の消耗が激しいことだった。顔色の悪いヴァンをルークはじっと見つめていた。
ルークはパッセージリングの操作により障気に体を侵されていくことを遅ればせながらに思い出した。もう少し早く思い出していれば何らかの予防策が打てたかもしれないという後悔。確かイオンが第七音素に障気が引き寄せられる特性を使って、ティアのそれを自分の体にそれを取り込んでいたっけ。
 ルークはヴァンの体にそっと触れてみたが、障気がルークに移ってくる気配はなかった。ふと頭の中にティアがよく歌っていた譜歌が蘇った。風がそれをルークに教えてくれているようなそんな感じだ。ルークがそれを口ずさむとヴァンから音素が流れ込んでくるのがわかった。障気がルークの中で熱い熱を発していた。
「ルークっ?!何を……?それにそれは譜歌か?!どうしてお前がそれを……?」
 ヴァンは狼狽しつつも流れ出る音素を止めることなどできないでいた。むしろそちらよりルークが譜歌を歌うことに驚いていた。
「ティアが歌っているのを聞いて、それでなんとなく覚えたんです」
「ティアが……」
 ヴァンは愛しい妹を思い出しているのだろう。優しい瞳で遠くを見ていた。
「ルーク……今のは一体、何をした?」
「せんせぇ。少しは楽になりましたか?せんせぇの中にある障気を取り除けたらって思ったら歌が勝手に……どうですか?」
 ヴァンはそう言われて初めて気づいたのだろう。ルークもヴァンを覗きこみ顔色がよくなっていることを確認して安堵した。じりじりと体の奥に熾火が灯り身を焼いているような感じがジワリと沸いたが、気になどしていられなかった。昔と同じなら半分を操作したティアも師匠と同じように苦しんでいるのだろうか。それならば俺が取り除いてやりたい。
「師匠。俺、ティアに会いに行きたい。ティアの障気も取り除いてやりたい」
「しかし」
 間髪おかずに躊躇するヴァンにルークは確信した。
「どこにいるのか知ってるんですね?」
 ルークは知らぬと言われれば一人で抜け出してティアの治療をするつもりだった。イオンがティアの障気を取ってしまう前に、そんなことをイオンが考えてしまう前に取り除いておきたかった。イオンが死ぬ理由にしてしまう前に取り除いておきたい。
「これは願いじゃない……」
 ルークは首を振った。
「罪人としてやらなければいけないことなんだ」
 ルークはローレライが間違ってしまわないように口に出した。罪人が願っていることじゃないからきっとそれはなされる。
「罪人?なんのことだルーク?」
「いえ……なんでもありませんせんせぇ。ティアのところへ連れて行ってくれますか?」
「あれらは今、ベルケンドにいる」
 ヴァンは静かに頷いた。
 

 病室に入るとティアはベッドの上で眠っていたが、軍人らしく警戒を怠ってはおらず。声色は厳しくりりしい声で誰何した。しかし顔色は青白く憔悴していた。ルークの記憶にある病に冒されている姿だった。
「俺だ。その障気を取り除く方法が分かった。試してみていいか?」
 ルークは深く被ったフードを脱ぐことなくティアの近くに歩み寄った。
「アッシュ……?」
 アッシュと間違えて警戒をされなければ上々と思いアッシュらしくふるまってみたものの。間違えられると針で刺されたように胸が痛んだ。だからそうだとは肯定する言葉は言えなかった。ルークは無言のままそっとティアの手を取ると譜歌を歌う。障気となった第七音素がルークの中へと流れ込む。熾火がいこってルークの身を焦がす。確実に障気はルークの中へと入っていると感じた。
「あなた……譜歌が歌えたの?」
「どうだ?楽になったか?」
 驚きの声を上げるティアに体の調子を尋ねた。何度も会いには来られないので確実に取り除いておきたかった。
「ええ、不思議だわ。本当に楽になったわ。ありがとう」
 ティアがはにかみ愛らしい笑みを浮かべた。
「少し休んだほうがいい」
 ルークは背を向けてすぐに部屋を出た。ぐらぐらとし始める体を叱咤してヴァン師匠の元へと戻った。薄暗い路地はガイとヴァン師匠がその昔決別をした場所だった。こっそりとティアの枕元にあった薬をくすねてきて正解だったとルークは薬を呑みこみ、路地に蹲り迎えを待った。陸艦でダアトに戻るころには薬が効いたのか、ルークも一人で歩ける程度にはなっていた。遅れてついてくるルークを何度も振返り、心配するヴァン師匠をみるとなんだかおかしくて仕方なかった。
「大丈夫です。これくらいでまだ死んだりしません。まだやらなくちゃいけないことがあるんです」
 ルークは遅れがちになっていた距離をつめた。それだけで息が上がり悲鳴のような呼吸音が漏れた。気力で前をみて大丈夫だという意思表示に笑みを浮かべてみせた。
「しかし、ルーク……お前はいったい……何を」
ヴァンがあまりの様子に息を飲む。ルークは息を整えながらもゆっくりと歩いていく。
「師匠は知ってるでしょう。この世界が預言によって縛られていることを。俺は預言に縛られない世界。俺たちが望んだ未来。それを俺は選びたいんです」
「しかし……そんな様子ではとてもお前には未来などつかめそうにもないが?」
 殺そうとしていた者が言う言葉ではないと皮肉にヴァンは苦笑を浮かべながらもルークのことを心配していることがルークには痛いほどわかった。
「俺の掴む未来は……そう多くないかもしれない。だけど……みんなでなら未来は選べると思うんです。俺には無理でもアッシュにならできるだから俺は……アッシュに生きていてほしい」
例えルーク自身に望むことが許されてなくても……みんなは未来を選ぶことができるのならそれでよかった。アッシュに全部返して、そしてアッシュのために生きることがルークの生きる意味だというのならそれをなしたいと思う。
「多くないとはどういう?ルーク。お前は一体何を知り、何をなすつもりか?」
 ヴァンの言葉に言わなくてもいいことまで口に出してしまっていたことにルークは気づいた。すべてさらけ出しても構わないのだが、ヴァンの計画が今後どうするつもりなのかを知らなければそうすることに躊躇いが生まれる。
「せんせぇは俺とアッシュを使って何をするつもりだったのですか?誰に対して復讐をしているのですか?」
 ルークは一呼吸おいて覚悟を決めてからヴァンに尋ねた。
「私は……復讐などではない。世界を変革させるために必要なことだ。預言に縛られてしまった人類をレプリカに変え、預言から自由になるのだ」
「大丈夫です。師匠。人はレプリカにならなくても預言から自由になれる。それにせんせぇもわかってるんでしょう。完全同位体な俺とアッシュが同じ人間になれなかったことも。これからなることもないことも……わかってるんでしょう?」
「いや、俺とアッシュは違うな。同じ人になる可能性はあるのか……」
「それはどういうことだ?説得するつもりではなかったのか?」
 ヴァンはルークの論理の破たんに呆れたのだろう。表情が緩んでルークの話の先を促した。
「完全同位体にのみ起きる現象をご存知ですか?」
「大爆発現象と言ったか?」
「ええ……いずれレプリカはオリジナルに欠けた情報の補完のために吸収されてしまう。レプリカは記憶以外、何も残らない。だからそれが起きれば俺とアッシュは同じ人間になるとも言えるんです。だけどそれは元のアッシュじゃない。俺は今のままのオリジナルがいい。例えそれが欠けた完璧なオリジナルじゃないとしても、俺は今のままのアッシュがいい……」
「お前はアッシュを知っているのか?」
 ルークは頷く。アッシュの名前でその姿が瞼の裏に浮かんだ。守りたい人。口に出すとまた未練になると困るから言わない。だけどアッシュのためにならなんだってやる。
「俺なんかを取り入れてもきっと碌なことにならない……ヴァン師匠もそう思うでしょう?アッシュはレプリカなど必要としていないって」
 ルークは大きく息を吐いた。
「そ、それは……」
「アッシュは今のままでも十分に完璧だし、預言に縛られない未来を掴みとれる。だいたい。レプリカはその人にそっくりでもその人には成れないんです。俺はアッシュにはなれない。代わりにすらなれなかった……だけど、そんなことしなくてもアッシュは預言に縛られない未来を掴む。もちろん俺もです。もちろん。俺を生み出してくれたことには感謝してます。ヴァン師匠。」
 ルークは決意を込めてこの手に掴むのだと己のこぶしを見つめた。
「俺だけの思い出……記憶を……」
 脳裏をめぐる美しく優しいそして残酷な記憶がルークを優しく慰めてくれた。知らずと口元が緩みヴァンにあきれられないかと心配になったがその心配はなさそうだった。窺い見たヴァンは短く唸った後考え事をしているようだった。港に止まる船がもう目の前に見えていた。思い出に浸っている暇などなかった。伝えたいことがあるならば今伝えておかなければいけないことにルークは気づいた。
「大丈夫です。俺が未来をつくります。だから……せんせぇも未来を俺たちとの未来を!」
 ルークは思わず意気込んで息を吐いた。これは本当に一大決心だった。ヴァンにも未来を夢見てほしかった。
「せんせぇはもう……無茶をしないで……きっと俺がみんなの未来を守ります」
 本気で言ったのにヴァンは弟子の大口だと、若輩者が語る夢だとでも思ったのだろう。弟子に対する優しい視線と笑みをルークに向けていた。
「なるほど。そのためには少し休む必要があろう。ルーク」
「せんせぇ……」
 違う本気なのだと伝えたくても迎えに出てきた兵士たちに遮られてそれ以上は言葉を伝えることはできなかった。ルークは崩れそうになりながらヴァンを視線で追った。
「顔色があまりにも酷い。しばらく私の私室で休んでいるといい」
 ヴァンはそう言ってダアトの私室の鍵をルークに渡してくれた。
「師匠はどうするんですか?」
「私はまだ仕事が残っている。当分は部屋に戻れそうもない。待つ間その部屋を使っていなさい。あまりうろうろと出歩くのではないぞ。用があれば呼びにやる」
 ヴァン師匠の部屋を使うというのになんとなく変な気分になりながらも、ルークはヴァンの言葉に従った。思いとどまってくれたかどうかは分からなかった。それでもルークのしなければいけないことは決まっていた。
 障気があふれ出してくればそれを中和するだけのことだ。決意を確かめるようにルークは胸に手を当てた。



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第十四話



 セトビナーが崩落した後、大地が次々と崩落する可能性がわかりアッシュはジェイドやイオンたちと共に大地を崩落ではなく降下させるための計画を進めていた。しかしヴァンとレプリカにより先にすべての大地を降下させられてしまった。各国の承認もまだだった急な大地の降下は世界に不安を充満させた。
「せっかくの準備が台無しだな」
 ガイは苦笑を浮かべて沈み行く大地を眺めていた。それでも耐久年数が過ぎて崩落するよりはマシではあったが、アッシュ達の計画では事をもう少し穏やかに遂行するつもりだったのだ。何も無意味に世界を混乱させる必要などない。
「屑レプリカめっ……余計なことをしやがって……」
 アッシュが苛立ち声を荒げレプリカを非難する。
「しかしヴァン謡将の計画が私たちのものと目的が同じならば、協力しあうべきですわ」
 ナタリアが興奮気味に頬に朱を登らせて力強く言った。
「世界が大変なときですもの。兄さんもきっと世界のためになる道を選んでくれたのだと私も思いたい」
 ティアが希望を見つけたというように言うとナタリアが慰めるようにその肩を抱き寄せた。
「では、ヴァン謡将の目的を知り、協力できるようならば協力しあうべきだということでよろしいですか?あなたのレプリカを予言どおりに死なせると言う計画は諦めたということでしょうかね?」
 ジェイドは首を傾げながらもそんなわけはないと確信しているのだろう。嫌味な笑みを浮かべた。
「あんな出来そこないはその程度の役にしか立たない」
「おい……アッシュ!」
 ガイが未練を隠しきれずにアッシュの言葉を諌める。それがまたアッシュの気持ちを頑なにした。
「あんな屑はどうなろうと知ったことじゃねぇ」
「それを聞いて安心しました。マルクト、キムラスカ、ダアトのすべてからレプリカルークの捕縛命令が出ています。大地の降下により世界を混乱させた罪を問うために捕縛せよということです」
 アッシュは思わず息を飲んだ。そんなつもりでの言葉ではなかったが、今さらレプリカの所有権を主張するわけにもいかずにアッシュはジェイドを睨みつけた。
「アッシュ……別に連れて来いってことだけだろ?それで事情を聴けばきっと納得のいく理由が聞けるはずさ。どちらにせよ大地は降下させるしかなかったじゃないか?それを罪に問うつもりなのか?」
 ガイが異議を唱えた。
「命令ですから連れて行くだけのことです」
ジェイドが意味ありげな笑みを浮かべた。
「ヴァン謡将とレプリカルークの目的を知ることは必要なことですわ。すぐに彼らを捜しましょう」
 ナタリアの言葉でガイはそれ以上の言葉は呑み込むしかなかった。不満のはけ口にされるだけの罪状だ。連れていけば有罪は決まっているということを感じて、アッシュは苦々しい気分になった。
 ヴァンとレプリカの目的を知るためにもアッシュ達はレプリカを追った。もし目的を同じくしているならば、アッシュの判断で隙を見て逃がしてやればいいとこっそりとガイに耳打ちをされてアッシュは頷いた。
 体調を崩しているティアは検査と治療のためにジェイドとベルケンドへそれぞれ分かれた。ナタリアはアッシュと共にダアトへと向かいたがったが、国元に帰るようにとアッシュの説得に応じてバチカルへと戻った。



 ヴァンがダアトに戻ると情報を手に入れてアッシュとガイもダアトへと向かった。ダアトにいるのならば道師の権限で呼び出せば良いということになり、イオンが翌日ヴァンを呼び出すことになった。アッシュとガイはダアトへ久々の帰還ともあり、ダアトの私室へ着く前に特務師団の山積みの仕事に捕まってしまった。
 アッシュとガイが二人掛りでも当分終わりそうにない書類の山にアッシュは隙をみてガイを事務室から逃がした。
「ガイ、わかっているな?ヴァンの思惑を聞き出して来い」
「任しておけ」
 ガイは疲れで重い体を引きずってヴァンの事務室へと向かった。事務室は書類が山積みになっているだけでヴァンはいなかった。ガイはヴァンの私室へと足を運ぶが部屋にもヴァンはいなかった。部屋に来るまでに立ちよりそうなところも覗いて来ていたがヴァンの動向はわからずだった。
「くそっ……どこへ行ったんだ?」
 怒りとやるせなさを八つ当たりでガイは体をベッドへと投げ出した。やわらかなスプリングに体を受け止められてからガイは後悔した。滲みだした疲れが体を縛ってしまう。
「寝てる場合じゃないってー」
 体を起こそうと思ったところでガイの意識は途切れた。自覚していたより疲れが溜まっていたようだ。


暖かな温度にガイは思わず腕の中にその温度を閉じ込めておきたくなった。懐かしい子供の香り、指先を滑る朱い髪を確認してガイはほっとした。まだ手の中に守るべき子供がいる安堵感は至福とも言えた。
「ルーク?わりぃいつの間にか寝込んじまってた……」
「ガイぃ……よかった。やっぱり……」
 子供は珍しく甘えてガイの胸に顔を埋め、しがみ付く。
「がい……がい……」
 嬉しそうな声で何度も名前を呼ばれてガイは怖い夢でも見たのだろうかとその背中をやさしく撫でてやった。猫のような柔らかな髪がガイの指に絡んだ。手入れを本人任せにして、ガイが最近してなかったためだろう。酷く傷んでいた。
「ルーク。自分でできるとか言ってたけど、髪傷んでるぞ。後で……」
 そういいながらガイは違和感を覚えた。猫のような柔らかな髪は夢の中でのことだ。夢というかアッシュとも共有している過去とも預言とも言えるような断片的に見るあのルークのものだった。アッシュの髪はどちらかと言うとしっとりとしていながらも芯があるしなやかな髪だ。ガイはゆっくりと目を開いて腕の中にいるものを確認した。
 毛先に行くほど色が褪せていると自嘲していたが、ガイには色鮮やかな金へと変わるグラデーションに見えていた夕焼け色の長い髪。疲れか、やつれているがいい夢を見ているのだろう。幸せそうな表情で眠るルークがそこにいた。
「ルーク?!」
 探していたレプリカルークにガイは飛び起きてしまう。眠っていたレプリカルークは消えたぬくもりを捜すように手を彷徨わせている。
「るーく?」
 ガイは確かめるようにその名前を呼んだ。ガイが夢に見るあの子供はレプリカのほうだったのだろうか?という不安。守りたいのはオリジナルなのかレプリカなのか?それとも……過去なのか?
「がい?朝?」
「ああ、朝だ。起きないと……」
 いつもの寝起きの声に条件反射のように答えてしまってから、ガイは一人狼狽をする。起こしてそれからヴァンの計画の情報を聞き出さなければ……そう思いながらもガイは見下ろしていることしかできない。
「後、少しだけ……」
 一度も目を開けることのないままルークはそう言い、体を丸くして眠りに引き込まれていく。
「お前なのか?お前が……」
 ガイはルークの体を揺さぶった。目を開けたルークはふんわりと笑みを浮かべた。
「ガイ……おはよう……どうしたんだ?父上が何か……」
 翠の瞳がゆらゆらと揺れながらガイを映していた。そしてゆっくりと辺りを見回して急激に体を起こした。
「な……っ!なんで?ガイがいるんだ?え?あれ?俺、夢を見てたのかな?」
 ルークはガイを見つめ、それから何か思いがあふれだす様に涙を零した。
「俺、怖い夢を見てた。ガイが死んじゃったって……でも本当はアッシュの親友になってて、俺はガイと会えなかった。すごく怖くて……夢でよかった」
「何を言ってるんだ?」
「ガイが俺の……」
 ルークは言いながらも悲しくなってきたのだろう。ぼろぼろとこぼれおちる涙を腕で涙を拭った。
「ガイが俺を育てなきゃ誰が俺を育ててくれるんだーってぇの!」
 笑いながらルークは夢でよかったと言い手で涙を拭う。それでも何か違和感があったのだろう。辺りを見回して言葉を途切れさせた。ガイ自身も混乱していた。レプリカを育てたのも親友だったのも夢の中での話だ。アッシュと二人で似たような夢を見ているとわかり、それは預言なのかそれとも、前世なのか何の確信も持てない夢の中の話だ。アッシュは最近それが過去生で前世だと言うが、ガイには確信もなければアッシュのようにそこまではっきりとした記憶もなかった。ただ守りたい子供がいた。守りたい赤毛の子供はルークで……髪は猫のように柔らかで絡み易くて、毛先になるほど美しい金の色になる。
 ガイは目の前にある朱い髪に指を絡めた。そう……この手触りだ。
「ガイ?」
「お前はルークのレプリカなんだろ?どうして俺の夢の話を知ってるんだ?」
 ルークは咄嗟に立ち上がり、慌ててベッドから飛び降りて青い顔をしてガイを見下ろす。ルークは何かを言うように唇を震わせたが、何も言わずに朱金の残像を残して、部屋から飛び出して行った。
「何がどうなっているんだ?」




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第十五話



 ルークへと私室の鍵を渡し、勝手な行動をするなと釘をさしておいた。とはいえあの健康状態では一人で出歩くことも難しそうであった。苦しみ方で障気による障害であることは明白であった。察するにヴァンとメシュティアリカの障気を消す方法を知っていたのではなく。受け取る方法を知っていたというところか。あの苦しみを二人分かとヴァンは気の毒に思い手を差し伸べたいという気持ちと、相反する道具に対して何の感情を持つ必要があろうかという気持ちがヴァンの中でせめぎ合っていた。
 先ほどのレプリカの言葉が気になって仕方ない。未来を選び掴む。と言う。レプリカでなく人がそれをなせるのだという。最後には私にまでそれができるのだ諦めるなと言ったように聞こえたのは気のせいだと思いたい。
 執務室に入るなり兵士に耳打ちされた情報にヴァンは顔を上げた。
「そうか……」
 冷静な顔でそう答えたものの、計画は変更を余儀なくされ忌々しさを噛みしめる。地下で進めていたレプリカ施設をアッシュ達に破壊されたという知らせだった。もう人類をレプリカに変えることはできない。風はレプリカ、いや、ルークたちに向いて吹いているようであった。施設を作り直すことは可能だが、全人類をレプリカに変えるのは預言の刻限には間に合わない。
そこまで考えてからヴァンは苦笑した。何を……預言の刻限とはいかなることか。
預言を破壊すると言っておきながら預言に縛られているのは私の方であったか……否定したいと思いながらもそうはできなかった。
ならば、ルークの言葉に従い彼らのいう未来というものに乗ってやってもいい。いずれ滅びる世界、若い者が最後まで足掻くというならば手伝ってやるのが先達の務めだ。未来を掴むというにはすでにぼろぼろの態のレプリカ。とてもあれでは未来は掴めない。どんな未来を掴むつもりなのか……
 完全同位体にのみ起こるという『大爆発現象』をあのレプリカは知っている。だが、それをものともせずに未来を変えそれを掴むという。
 ならば……『少ないという掴む未来』の意味するところは、それを受け入れるということだろうか?ヴァンはよくない想像に頭を振った。ルークにはどうやっても明るい未来は来ない。それでも与えられるものではない未来を掴むのだと言いきった。
「だからか……障気を受け入れたのか?ルークよ」
 何か助ける方法はないものかとヴァンは考えた。とりあえずディストを呼び出し大爆発の対策を練る必要があった。たまった書類の処理をしていると、道師からの明朝の呼出状が届く。見なかったことにしてディストの研究施設へと向かった。





 ガイを送り出し、山のような書類に埋もれながらもヴァンも同様な目にあっているのならば愉快だ。この山などはアッシュの裁量よりヴァンの裁量だろうとすべてを総長決済へとすり替えて持って行かせる。私室になど行く暇はないかもしれないな。アッシュは一人ほくそ笑んだ。わざわざ行かせるまでもなかったか、ガイには少し気の毒なことをしたかもしれない。
 そういえばヴァンが戻っているのならば、行動を共にしているレプリカもダアトにいるということだろうか。ガイと会っていなければいいのだが……アッシュはよぎった不安に首を傾げた。なぜガイがレプリカに会うと不安なのだろうか?レプリカからの方が計画については聞き出しやすそうだ。チャネリングを繋ぐと酷い頭痛があると知っていて繋ぐことに躊躇いがあり、使っていなかったチャネリングを繋ぐ。
「決して不安とかそんなのじゃねぇ……あいつがどこにいるかを確認するためだ。ガイがちゃんと仕事をしているかも気になるしな」
 言い訳を口にしてしまって、アッシュは思わず舌打ちをした。
「誰に言い訳してるんだ……俺は……」
 意識を集中しレプリカの見て感じている世界を共有しようとするが、接続状態が悪いのかレプリカの意識がクリアにならない。眠っているのだろうか?より深く繋がろうとして酷い痛みと苦痛にアッシュは思わず回線を閉じた。レプリカは教会の廊下をヴァンの後を着いて歩いているところだった。かろうじてわかったのはそれだけだ。
 現実に戻ってきてもアッシュの体にまで伝染したような、苦痛がべっとりと張り付いて残っていた。なんだこれは?この時期にある苦痛で思い当たるのは『大爆発』の準備による音素乖離だった。まさかもう始まっているのだろうか?アッシュは背筋に冷たいものが伝っていくような気がした。フォンスロットを互いに開いてしまってから、アッシュに過去の記憶が明確にわかるようになった。だからなるべく回線も使わないようにしていたのだが、症状が進んでいるのだとすれば残る時間は少ない。
 大爆発へ至る過程とその苦痛を思い出しアッシュは近づく未来に焦りを覚えた。頭を振りその考えを振り払う。アッシュ自身にはその兆候はない。
 それに、未来は変わっている。そのうえジェイドに託したその結果もまだ聞いていない。絶望するにはまだ早い。だからレプリカ早まったことをしてくれるな。とアッシュは祈った。




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